本当の恋に 気づいた日

「ご注文のフランボワーズのザッハトルテ、ラ・フランスのコンベルサシオン、ラトナピュラ、リゼでございます。ラトナピュラとリゼは食後にいたしましょうか?」



「…あぁ。ありがとうございます。紅茶は…今、いただけますか?」



「かしこまりました」



コポコポと注がれていく紅茶。


美しい茶器に注がれた琥珀色の液体からとても良い香りが漂う。


「それでは、失礼します」


紅茶を注ぎ終わって、店員が出て行った。



紅茶の香りを少し楽しんで、それから少し飲んだ。


……美味しい。


あ、でも、悠羅さんがデザートをたのんだから、ゆっくり飲まなきゃ…。


目をつぶって、また紅茶を一口味わっていたら、


「佳奈ちゃん、どうぞ」


と悠羅さんが言った。


そう言って彼女があたしの前に差し出したのは、さっき店員が持ってきた、デザートの内の一品だった。



「え…?」



「ラ・フランスのコンベルサシオン。美味しいのよ?貴方のために注文したのに」



「いえ、そんなにお腹も減っていな『ぐううううううううぅぅううぅぅう』



自分の声に重なるようにして聞こえてしまったあたしのお腹の音。


は…恥ずかしい/////


「うふふ、ほら、お食べなさい?」



「…頂きます」



ちびり、ちびりと味わう。



……嗚呼、やっぱり美味しい。
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