本当の恋に 気づいた日


一気にそう言い切った悠羅さんは、ハンカチを取り出し涙を拭いて


「ごめんなさい、貴方に言ってもどうにもならないのに……」


と謝った。



………あたしだって悠羅さんの気持ちは分からないでもない。


でも、手に入るのに……決意さえすれば、結ばれるのに…っ……。



…ちゃんと、悠羅さんと部長が結ばれたら、あたしは諦められるかもしれない。


でも、こんな状態じゃ諦め切れない。


「恋人」なんて、脆いモノだから。








……そこに愛が無ければ。









悔しいけど、悠羅さんと部長ならお似合いだと思う。


お互い好き合っているんだから…。


部長はあたしの事を好きじゃない……それなのに、形式上の「恋人」にあたしは執着している。



「悠羅さん、生意気なこと言って、ごめんなさい。貴方にもいろいろ事情があるとは思います。……だけど、好きならその気持ちに正直に生きれば良いじゃないですか…。………家の事とか、しがらみなんて全部忘れて、素直に好きって…っ…言えば…良いじゃないですか……っ……」



そう……好きなら……。



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