茜空
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「で、転入生はどうだった?」
お母さんの言う『どうだった』は
女だったか、男だったか
だということをあたしらは知ってる。
「うーん
男のこだったよ」
美波がそうめんをお箸でつつきながら答えると、
お母さんの目が鋭く光る。
「どういう奴なの!?」
嫌そうに眉間にしわを寄せて言う。
美波の顔がこわばるのを見て、
あたしが代わりにこたえる。
「うーん、なんかおとなしいかんじかな。
別に関わってもいないし、性格とかわかんないよ。」
お母さんがまだ少し嫌そうに顔を歪め、
「そう。とにかく関わらないのよ。」
と言う。
美波とあたしは無言でうなづき、
食べかけのそうめんをながしに捨てた。