夜明け前
かっちは高校から一緒にいる、私の唯一信頼できる友達。
基本的にがさつで適当な元ヤンだけど、私にとっては頼りになる姉さんであり、かわいく憎たらしい妹でもある。
私が大学に行く為に地元を離れると言った時、かっちは何も言わなかった。
いつも一緒だったのに、ぎりぎりまでそのことを私はかっちに伝えていなかった。
だから、絶対に縁を切られると思った。
「何でも私に言いな!!」
隠し事やウジウジしたことが大嫌いなかっちは、いつも私にこう言う。
大事なことを言わなかった私はかっちに嫌われて当然だ、そう思っていた。
けれど、卒業式の日。
かっちは私の前に一枚の紙を突き出した。
「おい、これ」
それは私が入学する大学の合格通知だった。
名前は『後藤かなみ』。
間違いなく、かっちの合格通知だ。
「え…かっち、これ…」
「死ぬ気になって勉強したんだ。すげーだろ。ま、これからもよろしくなー」
かっちは自慢げに、だけど少し照れくさそうに言った。
本人は「大学に行くって言ったら親が泣いて喜んだ、たまには親孝行しようと思った」なんて言っていたけど、当時、精神的にも肉体的にもボロボロだった私のことを思ってしてくれた行動だったと、すぐに理解することができた。
基本的にがさつで適当な元ヤンだけど、私にとっては頼りになる姉さんであり、かわいく憎たらしい妹でもある。
私が大学に行く為に地元を離れると言った時、かっちは何も言わなかった。
いつも一緒だったのに、ぎりぎりまでそのことを私はかっちに伝えていなかった。
だから、絶対に縁を切られると思った。
「何でも私に言いな!!」
隠し事やウジウジしたことが大嫌いなかっちは、いつも私にこう言う。
大事なことを言わなかった私はかっちに嫌われて当然だ、そう思っていた。
けれど、卒業式の日。
かっちは私の前に一枚の紙を突き出した。
「おい、これ」
それは私が入学する大学の合格通知だった。
名前は『後藤かなみ』。
間違いなく、かっちの合格通知だ。
「え…かっち、これ…」
「死ぬ気になって勉強したんだ。すげーだろ。ま、これからもよろしくなー」
かっちは自慢げに、だけど少し照れくさそうに言った。
本人は「大学に行くって言ったら親が泣いて喜んだ、たまには親孝行しようと思った」なんて言っていたけど、当時、精神的にも肉体的にもボロボロだった私のことを思ってしてくれた行動だったと、すぐに理解することができた。