離れないで


恭平が帰る時
いつものように
玄関まで行った。


もうこうやって
バイバイするのを
最後なんだって思った。


恭平は振り返った。


「ありがとう」

そう言って手を差し出してきた。


あたしはその手を握った。


でも、あたしは
何も言えなかった。


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