満月の初恋
何?と、目で伝えられた。

「あの、あなた、一人なの?家がないの?」

私が聞くと、彼はうつむいて一言、こう言った。

「寒い・・・・」

確かに、冬の雨の降る夜に白いTシャツ一枚でいたら、寒いだろう。

がたがた震えていた。

「じゃ、じゃあ、家に来る??」

思い切って、言い切った。

彼は、綺麗な瞳を私に向けた。

その瞬間、自分の言った事が恥ずかしくなった。

「家ならお客さんは大歓迎だし、そこそこ広いし、おいしい料理もあるし。」

でも、迷惑だろ。

また、目で伝えてきた。

「ううん!大丈夫!ほらほら、体冷えちゃうよー。」

私は、彼の手を引っ張った。

こうして、私はあなたに出会った。
これから、どんな不可思議な生活が始まるか、私には知る由も無かった。
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