君が教えてくれたこと。
「洋介って…あの別れた男だよな…」


ーー私は黙って頷いた。



「琉菜先輩は、敦子先輩と一緒に居て下さいっ!私が上手く、お客様に話しておきますから…」


そう言って、由実はパタパタと洋介の座っている席へと向かっていく。


由美ちゃん…大丈夫かしら。



何を話ているか聞こえないけれど、由実は何やら深々と頭を下げている。


洋介は軽く頷いた後、立ち上がると、そのまま店から出て行った。




帰った……ーー


一気に緊張の糸が切れて、はぁ〜〜…と溜め息を吐いた後に、力が抜けてしまって、壁に持たれかかった。


それを見て、淳子が心配して声をかけてくれた。


「大丈夫かよ、琉菜…」

「えぇ…大丈夫よ」


胸元に手を当てて、何とか気持ちを落ち着かせた。
< 12 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop