ハツコイ
「やめなよ、おっさん。その子には手を出すな」
おじさんを払いのけ、私を背中で庇う大地先輩
おじさんは逆恨みして
「この野郎!」
そう言って大地先輩の顔面目掛けて殴りかかる
避けようと思えば避けれたはずだったのに
大地先輩はもろに右頬にパンチをくらった
「悪いのはどっちだよ」
やり返さずに睨みつける大地先輩に
おじさんは逃げていった
それを確認し、座り込む大地先輩。
「先輩!大丈夫ですか?」
ジワッと涙が出てくる
「健人なら…もっと上手に庇えたかもな。ダセェ」
私は顔を横にブンブンふった
「うぅ゛…」
泣いてるから上手く言葉は出なかったけれど
私の震える手をとり、自分の方に引き寄せ抱きしめてくれる大地先輩。
きっと私を庇ってたから避けなかったんだよね
ありがとう…大地先輩…。
震えもおさまってきたけど、大地先輩は私をぎゅっと抱きしめたまま。
どうしたらいいか分からずパニックになる
「かなり焦った…紗由ちゃん隙だらけ!気をつけないと」
「すみません…」
少しずつ大地先輩から離れる。
「あ〜だいぶ腫れてるや…明日は部活休んで家でゆっくりするわ」
「あ…はい」
家まで送ってくれた先輩は手を振りながら帰って行った
家に帰ったら安心したせいかすぐに眠た
大地先輩にありがとうございました、とメールをして。