ハツコイ

健人先輩が戻ってきて、私の隣に腰掛ける。


机を挟んで向かい側にみちこさんが座る


「健人。城南大学…行かないつもりなの?」


「そのつもり」


「なんでなの?せっかくスカウトきたのに」


「なんでその事を…」


みちこさんはボロボロになった名刺を差し出す


「それ…」


「偶然見つけたの。ねぇ健人、行きたいなら行きなさい。あなたを大学に行かせるくらいのお金はあるわ」


「母さん…」


まだ迷っている様子の健人先輩

結局この日に答えが出ることはなかった。
< 188 / 208 >

この作品をシェア

pagetop