ハツコイ
健人先輩が戻ってきて、私の隣に腰掛ける。
机を挟んで向かい側にみちこさんが座る
「健人。城南大学…行かないつもりなの?」
「そのつもり」
「なんでなの?せっかくスカウトきたのに」
「なんでその事を…」
みちこさんはボロボロになった名刺を差し出す
「それ…」
「偶然見つけたの。ねぇ健人、行きたいなら行きなさい。あなたを大学に行かせるくらいのお金はあるわ」
「母さん…」
まだ迷っている様子の健人先輩
結局この日に答えが出ることはなかった。