ハツコイ
私はその笑顔に
胸がキュンとなった。


数日後、彼は
文武両道・柔道部主将
3年の倉橋健人先輩だと知った。

先輩はすごくモテるらしく、この数日間の間にも
何十人もの人が先輩に告ったらしい。


でも結果は全部玉砕。


「あ〜ん,フられちゃった〜」

「げっ!あんたも告ったの!?」


断る理由が…


『今は部活に集中したいって〜(泣)』


らしい。

朝早くから練習していた先輩。

部活熱心なんだな〜


「ん?紗由、何か部に入んの?」

「めずらしいね〜」


入部届をガン見している私に声をかけてきたのは、ゆかりとあみちゃん。

ゆかりとは小さい頃からずっと一緒で、あみちゃんとは中学の時に仲良くなった。

二人共大切な親友!


「2人ともおはよ!」


「おはよ。何部に入るの?」

と、あみちゃん。


「いい部だったら私も一緒に入ろっかな〜」

と、ゆかり。


「うん、あのね。柔道部のマネージャーやろうかな…って思ってるんだ」

少しでも先輩に近づきたかった。
この気持ちが何なのかはよくわからないけど、

先輩のあの笑顔を
もっとみたいって思ったんだ。

さすがに部員になるのは無理だけど、
マネージャーなら私にも出来るかもしれないって思った。


「え?本気でいってんの?」

ゆかりが深刻そうにいってくる。

「うん…?」


「あの健人先輩の追っかけでさえも入らないのに?!」


肩を掴んで真剣な目で見つめてくるあみちゃん。

「柔道場とか暑くて死んじゃうよ〜部員は健人先輩以外ムサい男ばっかだし」

「そうそう!何、紗由健人先輩の事好きなわけ?」


「いや違うよ!入学式の時助けてもらったの!だから恩返ししたくて…」

「そういえば紗由遅れてきたっけ」


「うん。迷ってたら体育館まで案内してくれてさ。」


2人とも、なるほど〜と頷く


「紗由もついに恋か!?」

とニヤニヤしながら聞いてくる。


「そんなんじゃないよ!じゃあ私出してくるね」

私はその場から
そそくさと立ち去った
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