ハツコイ
ライバル

部屋に戻ってもまだ
繋いだ手のぬくもりが消えない。

先輩の手大きかったな…
包み込んでくれてるみたいで、凄く安心できた


興奮でなかなか眠りにつけない。

ゆき先輩も肝試しが終わってから帰ってこないし…

私もどっか行こうかな

真っ先に頭に浮かんできた場所は
昨日健人先輩と話したあの砂浜。

またいるかも!なんて
淡い期待をもちながら、私は不思議と早足になる

「げ!…紗由ちゃん…」

大地先輩がばつの悪そうな顔で立っていた


「何してるんですか?」

隠れている先輩に近寄る

「いや!そうだ!少し暑いなあ!飲み物でも買いにいこう」


「……涼しいですけど…」


「………」

うーん、と考えている先輩。


「あ!じゃ…」


「先輩、何か隠してません?」


「えっ!?いや…」


挙動不審な先輩を押しのけ見えた先には…


健人先輩とゆき先輩がいた

二人とも立ったまま何やら話していて、やたら距離が近い


ゆき先輩は俯き加減で
健人先輩はそんなゆき先輩をじっとみている


そしてゆき先輩は顔をあげ、


「好き!」


小さいけど確かに聞こえた

ゆき先輩…健人先輩に告ってるんだ…
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