その一瞬の一秒に。

でも、もう中学3年だから。



受験だってある。



勉強、しなくちゃ。



学校は、勉強するためにある。



だから、頑張るんだ。





「じゃあ、伊藤さん、
 教科書78ページの問題を解いて?」



あたしは、教科書を開いた。



「…っ、えっと…」





“キモイ”



“消えろ”





そんな言葉ばっかりが
教科書いっぱいに書かれていた。



そのせいで、そのページが読めなかった。



「伊藤さん?わかんないの?」



「え?あ、いや…その…」



「センセー!癒月ちゃん馬鹿だから、
 今日も問題わかんないそうでーす」



「はぁ…伊藤さん、そうなの?」



「……はい」



「もう…
 ちゃんと勉強してないんですか?
 真面目に授業をやってください!」



「すみません」





あたしには、
そう答えることしかできなかった。



だって、これもいつもことだから。



あたしは、馬鹿なんだもん。



みんな、そうとしか見てくれない。
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