儚花火
リン――…

鈴の音が、聞こえた。

「ん…、獅兎…?」

「悪い、起こしたか?」

「ううん、平気……。何してるの?」

あたしの部屋に入るのは基本的に獅兎の自由。

でも獅兎があたしの許可なしに入ってくることは珍しい。

「新しい着物入れとけって」

「……また新しいの来たのぉ…?」

最悪…。

「あからさまに嫌な顔すんな?」

伸びてきた手があたしの頭を優しく撫でる。

「…ん……」

こうされると何でも受け入れられる。


うぅ…獅兎ぜったい知っててやってる……。

獅兎の手好きだから良いけど…。

「よし。今日も学校だろ?帰ってきてから舞の稽古忘れんなよ?」

「忘れないよっ!!」

獅兎との夏祭りの為だもん!!

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