儚花火
それから夏祭りまでの間は長いようで短かった。

ずっとウキウキしてて、学校では友達に「キモイ」とまで言われた。

でもしょうがないじゃん?

だって獅兎と夏祭り行けるんだもん。

顔が緩むの止められなかったんだもん。


もちろん獅兎と約束してから、舞の稽古は一回もサボらなかった。

先生とかには「空から何が降ってくるの!?」とか言われたりした。

あたしでも傷つくからね?

流石に。


リン――…

また鈴の音がした。

でも、今日のは獅兎の首の鈴の音じゃない。

あたしの予想通り、障子を開けて入ってきたのは獅兎の家系の女の人だった。

獅兎たちは皆鈴をどっかにつけてる。

みんな同じ鈴みたいだけど、若干音がそれぞれ違う。

あたしはやっぱり獅兎の鈴の音が一番好き。
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