儚花火
「お食事の時間です」

それだけ行って下がっていったその人は、いつも伝達係りの女のひと。

綺麗だけど、無口な人。

見た目は美人で若そうだけど、あたしが子供のころからずっといる。

……ほんとは何歳なんだろ?

「では今日の稽古はここで終わりにいたしましょうか」

「ありがとうございましたっ」



――リン―――

廊下を歩いてたら、つま先に何かが当たった。

黄色く小さなその物体はまぎれもなく、獅兎の首についてるのと同じ小さい鈴。

獅兎のものじゃないけど、獅兎たちにとってこの鈴は大切なものだったはず。

よくわかんないけど、前に誰かが言ってたのを聞いた。


届けないと!!

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