儚花火
見つかるのに結構時間がかかると思ってたけど、案外簡単に持ち主が見つかった。

鈴のついてないお手伝いさんを探して家の廊下歩いてたら、ちょうど何か探してる人が一人。

「ねぇ」

「あっ、祈雨様…。何でしょうか??」

「これ、落ちてたよ?」

「あっ、ありがとうございますっ!」

この人ので間違いなかった。

よかった、見つかって。


獅兎ほどではないけど若い人。

獅兎たちはみんなこの鈴大事にしてるけど、この人はそれよりも凄く大事にしてる気がする。


「その鈴って、そんなに大事なものなの?」

あんまり詳しく聞いたことなかったけど、実はすっご~く気になってたんだよね。

「はい。私たちにとって主人の次くらいに大事なものですよ」

そういったその人があんまり優しく笑うから、あたしはもう一つきいた。

「……ねぇ、獅兎に彼女とかいるって話きいたことある?」


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