儚花火
うっ、ヤバイ。

一瞬逃げようかとも思った。


「なんでお前はまたそんな格好してんだ」

「べっ、別に良いじゃん。着物好きじゃないんだもん」

「……じゃぁ、今度の踊る舞の練習は」

「……やった」

舞も着物も家の風習みたいなもんだけど、あたしは好きじゃない。
むしろ嫌い。

重いし堅苦しいし、いまどきの女子高生が肩の出たワンピースきて何が悪いのよっ!


「さっさと着替えてこい。練習付き合ってやるから」

「えっほんと?」

「あぁ。だから早く着替えて着てくれ」

「わかった!すぐ着替えてくる!!」

獅兎は溜息ついてたけど、あたしにとってこんなに嬉しいことはそんなにない。
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