儚花火

あたしの家は由緒正しき家らしい。


獅兎の家は、昔から代々家に使えてきた従者の家系らしい。


小さい頃からずっと一緒だった。

でもあたしたちの関係を、あたし自身が語ってる。


だってあたしは「獅兎」って呼ぶ。
最初からそう呼んでた。

獅兎のがあたしより年上なのに、ずっとずっと呼び捨てで呼んできた。


あたしたちの間には、はっきりとした溝がある。

従者と主人。

深く考えることは殆どないけど、
そこにあるのはあたしたちの関係性。

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