なんでも屋 神…第二幕
「五月蠅い喋るな!ノリも答えなくて良い!早く谷口の爺の所に迎え!」



苛立たしげに返事を返してくるノリ。歳は勿論兄ぃ方が上だが、俺達の間に上下関係等皆無だ。



左右から飛び交うクラクションの嵐にも負けず、ノリの運転する車は益々その速度を上げていき、僅かながらに重力が身体に覆い被さる。



俺の身体の中を、血管と言う名の管を通り、どす黒い何かが蠢き回り、抑えきれない感情の高ぶりに比例するかの如く、兄ぃの出血が増していく…。



蒼白にも近い兄ぃの表情からは、普段とは別の冷たさが見え始め、何事にも余裕を携えていた様は、最早見る影も無くなっていた。



一段とクラクションの悲鳴が飛び交う交差点に差し掛かり、俺の兄ぃを呼ぶ声も、暗闇の空に吸い込まれ消えていく…。
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