なんでも屋 神…第二幕
「ねぇ、何で秀太の所に行くの?って言うか、秀太に会うの何て久し振りだな。あ、ヒロ〜!」



…此奴の存在を忘れていた。ヒロもマコを見て、顔を引き吊らせながら手を振り返している。



昨日事務所を訪れた時と然ほど(さほど)変わらないマコの格好は、トレーナーの色が水色に変わったぐらいで、デニムもスニーカーにも変化は無い。



…とことん色っぽさの欠片も見当たらない女。外見のタイプだけで言えば、一葉とは全く正反対だな。



メインを横切る間にも、肉体の売買交渉を成立させた歳の離れたカップルが誕生し、端の方では五、六人の乱闘騒ぎが始まろうとしていた。



心地良さそうに瞳を溶かしている奴、ドラッグが切れて何かに取り憑かれたように頭を掻き毟る奴…今のメインは、そんな狂った奴等が溢れかえっている。



「ねぇ、プライベートの時間を削ってまで、パワーバランスとして[cross]を率いていた神にとって、このメインが汚れていくのはどう思うの?」



…パワーバランスか、なんだか懐かしい言葉だな。
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