なんでも屋 神…第二幕
第十一章
梅雨入り前とは微塵も感じさせず、今日の天気は頗る(すこぶる)快晴。



マコを[狼我會]の芸能プロダクションに送り込む実行日。



世間は正午を回ったばかりで、ランチを摂りに出て来た会社員達が、タイルを敷き詰めた歩道は溢れている。



俺は[狼我會]の芸能プロダクションが入ったビルの斜め向かいに在る、[渡辺商事]の窓を拭いていた。



昨日、事務所で神堂と連絡を取るか迷った相手が、[渡辺商事]の社長。



無論電話を掛けたのは[渡辺商事]の方で、ノリから芸能プロダクションの住所を聞いた時に、脳内の地図に以前取引を行った事の有る、[渡辺商事]の文字が浮かんだ。



以前の取引と言っても、今日と同じく依頼はビルの窓拭きだったが、剛胆な社長は今回此方から依頼したにも関わらず、二つ返事で快諾してくれた。



まぁ格安で申し込んだという事も有るだろうが、同じ五階建ての芸能プロダクションを見張るに、オフィス街と呼ばれるこの通りでは、これ以上最適な待機場所は無い。
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