なんでも屋 神…第二幕
死に恐怖など感じない。



俺が今恐れているのは、一葉を巻き込み最悪な結末を迎えようとしている展開…。



ナイフの切っ先を薙いだと錯覚した刹那、左腕に僅かな衝撃を感じ取る。



薄っすら掠っただけ…切れ目の入った衣服越しにじんわりと血が滲む。



衝撃…痛みなど脳内から分泌されるアドレナリンにより、大した事の無いものなら今は感じ取る事が出来ない。



次の瞬間には横から右端に居た男が、切っ先を立てて飛びかかってくる様を一瞥した。



此奴は間違い無く刺しに来ている…。



幾らナイフで切られても、大事に至るケースは極稀だが、刺されるのは血管や臓器に傷を付けてしまう。



騙し騙しで先送りにしていた絶望感が頭を過ぎる…。



突如突っ伏すようにして向かってくる男に、体勢を向き直す。



左側の男を構う余裕は無い…切られる事ぐらい、今なら我慢出来る。
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