なんでも屋 神…第二幕
忘れていた時の酸素を取り返すかのように、電話口の向こうでは俄然呼吸が荒くなる。



たぶん、鼻や肋骨が折られてるな…。



「まぁ、良く考えてみる事だな。」



そう言って一方的に通話を切り、携帯をノリに手渡した。



身体が折れないなら心を、差し込んでいる一筋の光を折るしか手段は無い。



「お前、襲われながらそんな事に気付いてたのか?」



ハンドルを握りながら、小さく言葉を発したノリ。



虎は死して皮を残す…俺は虎じゃないが、無駄な死は望んでいない。



それに、気付く箇所は至る所に有った。現れた時に纏っていた雰囲気、見据える二人を置いて最初に向かってきた事、慣れていないナイフの扱い方…数え上げればきりが無い。



尤も、それに気付いたのは兄ぃの所を後にしてからだが…。
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