なんでも屋 神…第二幕
「じゃあ明日な。」



返事の代わりに窓ガラス越しで軽く右手を上げ、ノリの運転するベンツはテールを小さくしていった。



「馬鹿息子が帰ってきやがったかい。お前一人なんて珍しいじゃないか。とうとう一葉ちゃんに愛想でもつかされたのかい?」



玄関のドアを開け、ただいまを言う前に実の母親から、開口一番にこんな事を平気で言われ続けてきた俺…よくぞ此処までまともに育ったもんだ…。



「婆、毎回毎回突っ込み所が違うんだよ。息子が左肩を負傷してるんだぞ、心配する気持ちの欠片でも見せてみろ!」



漸く気付いたふりをして、俺の左肩に視線だけを注いだお袋は、小馬鹿にしたように鼻で笑ってリビングに向かった。
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