なんでも屋 神…第二幕
「儂の生まれた所は、今でも稲作の盛んな片田舎じゃった。」



大さんの家は、土地を貸して貰って稲作をしていたが、勿論それだけでは食べていける筈も無く、夜は内職として養蚕の手伝いもしていた。



貧乏子沢山とは良く言ったもので、大さんは六人兄弟の五番目としてこの世に生を受ける。



今でこそ大家族と珍しがられるが、当時の田舎では子供も立派な労働源として農業を手伝わされた。



朝も夜も無く親の仕事を手伝い、身体が出来上がってきた齢十四の頃、当時で言う集団就職で隣の街にやって来たのだと言う。



遠くの親類を頼り、親類が営んでいた溶接工場でも、安い賃金で休む暇無く働かされた。
< 36 / 344 >

この作品をシェア

pagetop