なんでも屋 神…第二幕
大さんの人生に転機が訪れたのは、溶接工場で身を粉にして働いた四年後の事…。



その頃には少ない賃金の中から田舎に仕送りをしていても、有る程度の蓄えが有った。



一つ例えを出せば、小説を読む事すら、当時では極々希少な娯楽であったのだ。まぁ、字を読める人と読めない人が居た時代の話しだが。



そんなある日、些細な事から親戚筋に当たる工場長と口論になり、血気盛んな年頃だった大さんは、溜まりに溜まっていた鬱憤を晴らすかのように工場長を突き飛ばした。



突き飛ばされた工場長は運悪く足が縺れ、これまた運悪く機械の角に後頭部を強打してしまった。



意識を失った工場長が病院へ運ばれたのを確認すると、大さんは急いで自分の荷物を纏めて寮を飛びだした。
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