なんでも屋 神…第二幕
「しかし、日本のヤクザには代紋という団結力が有りますが、我々にはそれが無い。神サン、いや、神君が小龍ならどうしましたか?」



突然の質問に俺は口を閉ざしたが、答えは腹の中で決まっていた…もう少し様子を伺い、タイミングを待つ。



「タイミングを計り、その時期が来るのをじっと待ったでしょう?生前の小龍は、神君を大龍と似ていると言っていたと聞きました。成る程、歳は離れているが確かに似ている…。」



腹の内を見透かされたようで気分が悪くなり、水割りが注がれたグラスを傾け、一気に全て飲み干した。



「結果として言えば、大龍の存在に拘りすぎて小龍は死んだ。神君の帰国で勝負を仕掛ける時期を誤った…最初から決まっていたんですよ。小龍が死ぬ事はね。」



確かにあの時期の小龍なら、そう言われても仕方無かったかもしれないが、それを淡々とした口調で語る三龍に、俺は底知れぬ悍ましさを感じた。
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