なんでも屋 神…第二幕
「話しだけでも聞いて貰いましょう。」



息子の後に続き、半田さんの娘も椅子から立ち上がったので、デスクの上に一枚の写真と、シュガーレスガムの入れ物を少し大きくした機械を差し出した。



銀色に光るその機械はボイスレコーダー。昨日プールへ入る前に録音ボタンを押し、半田さんの娘が居た第一コース付近に置き、タオルの中へ忍ばせていた物。



調べた所によると、半田さんの娘は年会費三百万をあのジムに払っている。熱心なのでは無く、ジムの若いコーチに熱を上げているだけだ。



「脅迫のつもりでお出しした訳では有りません。あくまで席に着いて頂く為の物ですので、今直ぐにでもお返し致します。」



デスクの上に置かれた写真とボイスレコーダーから、一度も目を離さずに二人は椅子に腰を下ろした。
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