なんでも屋 神…第二幕

女性は男性より同調しやすい…入院中に心理学書を読みかじった程度だが、半田さんの娘が俯いた様子で確信を得る。



その行為が古川さんの切ない思いに、付加価値を付けていく。予定より上手く進んだ事に、今回の依頼達成を実感した。



「考えてみて下さい。駆け落ち等と言ったら、それこそ御近所に対して示しが付かないのではないですか？二人の純粋な想いは美談にこそなりはしますが、嘲る人間はいないと思いますよ。お二人共、人を好きになると言う気持ちを忘れていないなら、あの二人の気持ちも分かってあげて下さい。」



年老いたと言っては失礼に当たるが、このまま離されたままなら、あの彦星と織り姫は強引にでも駆け落ちの手段を取るだろう。



互いに俯いていた顔を合わせ、渋々では有るが首を縦に振ってくれた二人。



これにて、古川さんと半田さんの依頼は終焉を迎える。



いつの間に撮られたのか…何時録られたのか…その心の奥底に、俺に対する得体の知れない思いが、後押ししてくれたのは言うまでも無いか。