なんでも屋 神…第二幕
第一章
「一葉、悪いけど今日は遊んでやれないぞ。先約があるんだ。」



そう言いながら一葉にメットを手渡すと、予想通りの冷たい視線が俺の左頬に突き刺さる。



「彼女を差し置いて誰と先約が有るってのよ!さっきははっきり彼氏だって言ってくれなかったしさ!」



…段々お袋の性格に似てくる一葉に、引き吊りながら苦笑いを返す。早くも俺は尻に敷かれてるのかな?



それでも、今日の用事は前から決まっていた事。その為に、皆の都合を合わせていたのだ。



これ以上一葉の文句を聞いていられなくなった俺は、その声を遮断するようにメットを被ってバイクを発進させた。
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