Better half
「栄祐も、こっち来てよーっ!」

私の手招きに、栄祐は首を横に振った。

「俺はいいよ」

ユウを残し、私は栄祐の元に歩み寄り、彼の腕を掴んだ。

その腕を、無理矢理に引っ張る。

「わかったから、待って」
観念したのか、履いていた爪先が丸いスウェードのサンダルを脱ぐ栄祐。


その時!


「キャーッ」

と声がしたや否や、栄祐は、携帯電話を砂浜に放り投げ、慌ててバシャバシャと海に入り

そして…

私の右側を通り過ぎた。

はっとして、海の方に振り向くと、

ビショビショに濡れたユウの頭だけが見える。

波がユウを通り過ぎ、立とうとしても、足が縺れてるのか、波に揉まれて立ち上がれ無いのか、

来る波に、ユウの姿が消され、また現れた…

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