Better half
 やがて、会えば普通に話しする様になった。

私の携番を教えたのは、栄祐のこと、嫌じゃなかったから。

むしろ、電話のやり取りをする様になってからは、栄祐にどんどん惹かれてる自分がいた。


 それは、バイト先で就職出来ない苛立ちを、栄祐に聞いて貰った時のこと。

栄祐は私に言った。

『由記は、自分が売ってる物に愛着とか自信とかある?例えば、どうして、お客様が、由記のとこで、石鹸を買って行くのか、考えたことある?』

そんな事、深く考えたこと無かった。

ただ、なんとなく働いているだけだし。

『自分の売ってる物が、どんな物なのか、考えてみるといいよ』

歳は栄祐が私の1つ上だ。
そう。1つしか変わらないのに、栄祐は時々、悟ってるかの様に話す。

それが何故かは、後から知ることになるのだけれど…。

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