花火☆letter



  ガチャッ////!



隣の家の戸が開く音で、俺は我に戻った。



「あら、ユウちゃん!」



そう言って、俺を呼んだのは凜花のお母さん。



おばさんは昔から、俺のことを【ユウちゃん】と呼ぶ。


未だに呼び続けている。


「おはようございます」



「おはようッ//!

朝早いわね。

今日から夏休みでしょ?部活?」



「うん」



「そうなの。

あっ!昨日はありがとね」



「えっ?」



おばさんのお礼の意味がわからず、首を傾げる俺。



「花火!

また凜花がワガママ言って、ユウちゃんを無理矢理誘ったんでしょ?

あの子花火大好きだから。

凜花に付き合ってくれてありがとね!」



凜花の代わりに、おばさんからお礼を言われた。


   だけど……



お礼を言われるようなことはしてない。



「あのう…

 凜花は……?」



「えっ?凜花?

 今、朝食中だけど?

 呼ぶ?」


「あッ///いやッ…

 大丈夫ッ//!!」


俺は慌てて、手を振る。



「じゃあ、俺はこれで」


慌てて、その場から去ろうとする俺に向かって、おばさんがいつものように「いってらっしゃい」と言って見送ってくれた。




< 11 / 36 >

この作品をシェア

pagetop