花火☆letter
ガチャッ////!
隣の家の戸が開く音で、俺は我に戻った。
「あら、ユウちゃん!」
そう言って、俺を呼んだのは凜花のお母さん。
おばさんは昔から、俺のことを【ユウちゃん】と呼ぶ。
未だに呼び続けている。
「おはようございます」
「おはようッ//!
朝早いわね。
今日から夏休みでしょ?部活?」
「うん」
「そうなの。
あっ!昨日はありがとね」
「えっ?」
おばさんのお礼の意味がわからず、首を傾げる俺。
「花火!
また凜花がワガママ言って、ユウちゃんを無理矢理誘ったんでしょ?
あの子花火大好きだから。
凜花に付き合ってくれてありがとね!」
凜花の代わりに、おばさんからお礼を言われた。
だけど……
お礼を言われるようなことはしてない。
「あのう…
凜花は……?」
「えっ?凜花?
今、朝食中だけど?
呼ぶ?」
「あッ///いやッ…
大丈夫ッ//!!」
俺は慌てて、手を振る。
「じゃあ、俺はこれで」
慌てて、その場から去ろうとする俺に向かって、おばさんがいつものように「いってらっしゃい」と言って見送ってくれた。