「傍にいてやんよ」



カフェを出てすぐ家に帰った。


白のワンピースを見ると、あの夏の記憶を、まだ鮮明に思い出せる。


でも今はさすがに寒いから、上に厚手のコートを着る。


そして、颯太に電話した。


あたしからかけるなんて、きっと初めて。


「はい」


聞き慣れたその声。


「そうた……、話したいことがある」


「…俺はない」


「……お願い、きいて」


「…。」


「今から会える?ちゃんと、会って話したい」


「…わかった」


公園で待ち合わせをした。


ケータイだけ持って、すぐ家を出た。


本当は少し怖い。


そうたが今、どんな気持ちでいるのか、全然わからないの。


あたしは本当に、ひとの気持ちを感じとるのが苦手。


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