告白
私は箱から一番最初の手紙のノートの切れはしを手にとる。




『ありがとう』




次の日の下校の時、なんとなく花壇みて帰ろうとしたら、花壇のはじに風に飛ばされないように小石をのせた白い紙。


あの時は本当にびっくりしたな。


返事がくるなんて思っていなかったし。




それから花壇のはじで手紙のやり取りがはじまった。


あの花壇は、何年か前の園芸部が作ったもので、園芸部が廃部になっている今では誰にも世話されずにあったものを、見つけた清水くん一人で世話しているとのことだった。


お母さんが、ガーデニングが好きで、緑にかこまれて育った清水くんには、あれはてた花壇ががまんできなかったらしい。


それから、最初はノートの切れはしの短い文章だったものは、花壇以外の日常の事も書くようになり便箋にかわった。


花壇のはじに小石をのせていたものは、清水くんが鍵つきの金属の箱を置いてくれて、誰にも知られる事なく文通みたいな事はしばらく続いた。




あの時までは。
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