告白
7月、もうすぐ中学校はじめての夏休み。


みんななんだかそわそわして落ち着かない毎日をおくっていた。


そんな時に、たまたま清水くんのクラスの前を通ったら、男子の騒ぐ声が聞こえた。


「いいだろ、見せろよー。」

「ダメだ。返せ。」


「どうした?」


「清水ラブレター書いてたんだぜー。」


「「「えー!」」」

女の子たちのびっくりした声。



えっ、清水くん!


ラブレター!



私は足が動かなくなり、廊下に立ち止まる。


「「「いやー。」」」


女の子の悲鳴。


「どれどれ、えーと『あなたに会いたい。会って話しがしたい』」


「バッ、バッカ、読むんじゃねー。」


机と椅子がぶつかり会う音が聞こえる。


清水くんがラブレターを取り戻そうとしているらしい。


「あーあ、取られちゃった。」


「おまえ、ふざけんなよ。」

「だってよ、モテモテのおまえがラブレター書いてんだぜ。
みたくもなるだろ。
相手誰だよ。
教えろよー。」


「誰が教えるかよ。
つーか、ラブレターじゃねーし。」


「はぁ?
それどう考えたってラブレターだろ。
まー、おまえがラブレター書くぐらいだから、すごくかわいいこか?
それとも綺麗な美人か?」


「うるさい。」


「えー、教えろよ」


「うざい。」


「教えろ、教えろ教えろ教えろ教えろ…………。」


「あー、うるさい、うるさい!
すっげーすてきな子だよ。はい、話し終り。」



まだ教室はざわついていたけど、私は動かない足を無理矢理動かした。
< 21 / 281 >

この作品をシェア

pagetop