僕の恋愛100パーセント。アスターの思い
夏美はコーヒーを一口飲むと「何から話せばいいのか迷うわ」と言った。

僕は「何から?」と復唱すると「そうね、あおいの親と私の親は親友だったの。だから私たちも幼い頃から友達だったわ」と言い、夏美はまたコーヒーを一口飲んで表情をくもらせた。

「私たちが小学校にあがる頃だったかな、あおいのお母さんが家出したのは」と言い「人間って残酷よね」と言った。

「残酷?」僕がそうたずねると夏美は無表情にも近い表情で「そう、残酷」

「家出したから?」と聞くと「違うわ、あの時のあおいは必ず帰ってくるって信じてたから」

「それじゃあ?」

「人の不幸ってすぐに噂になるの、大人は子供が理解できないと思うのかしらね。子供の前で平気で話しするわ」と言った。

たしかに親はよく近所の噂をしていた。そして幼いながらも、どんな話しでも理解していた気がする。

夏美の言いたい事は全部きくまでもなく僕は理解した。

「相当いじめれたの?」

「そうね。子供は善悪の区別があまりないから、いじめてる気はなかったんだろうけどひどかったわね」

「夏美はどうしたの?」

「私と数人の友達はかばったわよ」と言った。
「それに、友達がいない訳じゃないわ、あおいは受け身なのよ。自分から話しかけないだけなの」

夏美は僕を見つめた。そして「あおいは強い子よ、それに最近、よく笑うわ、けんけんのおかげかな」そういうと夏美は笑顔をみせた。
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