甘々果汁BABY
「うちのクラスにもさぁ、弘斗みたいにモテモテの男の子がいるんだ」
「へぇ。」
「それが男子にも女子にもモテてさ。あたしよりはバカなんだけどさ...」
成績優秀でスポーツ万能で...。
笑った顔がすごい可愛くて...。
「なーんか、モテるのもわかる気がするんだ。」
でも。モテる人好きになったりしたら。
あたしは絶対に後悔する。
「それって未咲のやつだよな。」
「うん。今度紹介してあげるよ。」
弘斗に笑って見せたけど、
弘斗は全然こっちを見てくれない。
むしろ俯いているばかりで...。
「明花、そいつ好きなの?」
強風が吹いたために、
駅前に違法駐輪している自転車が
ガタガタと音を立てて
ドミノみたいに崩れていった。
まるでその音は、
いままでのあたしの壁を
みるみるうちに溶かすような、
そんな音と重なった。