甘々果汁BABY
泣いちゃダメだって...。
こんなとこで泣いたら
ただ頼ってるだけに思われちゃう...。
「ほれ。やっぱダメじゃんか。」
弘斗はあたしの膝を折り曲げて、
静かに持ち上げた。
「え…?」
これ...。お姫様だっこだよね?
なんか...
前にもこんなことあった...?
「服びっちょびちょでオヤジらに怒られるかもな。」
「うん…。」
弘斗は周りから注目されているのも気に掛けず、
海の家へ
あたしを運んでくれた。
「あーぁ。ダメじゃん、野上。」
「分かってる。」
あたしと弘斗がいなくなった海辺で、
呆れている澪と
少し落ち込んでいる野上くんが
どんな会話をしているかなんて、
あたしは知らなかった。