甘々果汁BABY





泣いちゃダメだって...。





こんなとこで泣いたら
ただ頼ってるだけに思われちゃう...。




「ほれ。やっぱダメじゃんか。」



弘斗はあたしの膝を折り曲げて、
静かに持ち上げた。



「え…?」


これ...。お姫様だっこだよね?




なんか...

前にもこんなことあった...?




「服びっちょびちょでオヤジらに怒られるかもな。」


「うん…。」



弘斗は周りから注目されているのも気に掛けず、


海の家へ
あたしを運んでくれた。





「あーぁ。ダメじゃん、野上。」


「分かってる。」




あたしと弘斗がいなくなった海辺で、
呆れている澪と

少し落ち込んでいる野上くんが


どんな会話をしているかなんて、


あたしは知らなかった。





< 92 / 260 >

この作品をシェア

pagetop