かたつむりの恋心
いつだったか、「俺は1-A。上村葉丞」といきなり言われた。「こっちだけ名前を知っているのはなんだかフェアじゃないから」と。「図書カードで見てるから」名前とクラスを覚えてしまったらしい。「上村ヨシキ(佳樹)」は兄弟だそうだ。彼の兄とノートのやりとりをしていることは知らない様子だったので、怪しまれないように、ナツメも兄のことは聞かなかった。
でも、相変わらず痛いところを突く。
「朝は傘、持ってたよな。」
「……」
「なくしたのか。」
「……壊れちゃった……」
図書委員は眉間にしわを寄せた。
カオが怖い。
(怒ってる……?)
と気付いた時、
「来い」
と図書室から連れ出された。
「え……え、ちょっと……」
腕を捕まれたまま、階段を上がる。
でも、相変わらず痛いところを突く。
「朝は傘、持ってたよな。」
「……」
「なくしたのか。」
「……壊れちゃった……」
図書委員は眉間にしわを寄せた。
カオが怖い。
(怒ってる……?)
と気付いた時、
「来い」
と図書室から連れ出された。
「え……え、ちょっと……」
腕を捕まれたまま、階段を上がる。