かたつむりの恋心
「ナツメおそーい。どこ行ってたの?」
「……え~と、ねえ……図書室……。」
「またあ~?! もう! 話したいことあったのにぃ~」
「あー、うん……ごめん、ごめん……」
友だちに軽く謝りながら席に着き、ナツメはもう一度プリーツスカートの上から文庫サイズのノートをそっと確かめた。
トクトクと、無機質なはずのノートがほんのり熱を帯びているような気がする。
「生徒が聞いていようがいまいが気にしない」と有名な、古典の授業が始まってすぐ、ナツメはそのノートを1ページ目から慎重に開いた。
〝友だちがいないといけない?〟
「えー……と今日は6がつだから……」
古典の吉田先生の声にドキっとして、出席番号6番の工藤ナツメはハッと顔を上げる。
「6かける6ひく6で、30番!」
よかった。当たる心配はなさそうだ。
まだちょっとドキドキする胸を押さえ、続きに目を通す。
「……え~と、ねえ……図書室……。」
「またあ~?! もう! 話したいことあったのにぃ~」
「あー、うん……ごめん、ごめん……」
友だちに軽く謝りながら席に着き、ナツメはもう一度プリーツスカートの上から文庫サイズのノートをそっと確かめた。
トクトクと、無機質なはずのノートがほんのり熱を帯びているような気がする。
「生徒が聞いていようがいまいが気にしない」と有名な、古典の授業が始まってすぐ、ナツメはそのノートを1ページ目から慎重に開いた。
〝友だちがいないといけない?〟
「えー……と今日は6がつだから……」
古典の吉田先生の声にドキっとして、出席番号6番の工藤ナツメはハッと顔を上げる。
「6かける6ひく6で、30番!」
よかった。当たる心配はなさそうだ。
まだちょっとドキドキする胸を押さえ、続きに目を通す。