赤い愉楽
そして家に上がった男は

位牌に手を合わせた後
ソファーに座り怜奈と対峙した。


懐から一通の貯金通帳を出し
テーブルに置く男。


怜奈が恐る恐る手を伸ばし
中をのぞいてみる。


怜奈の顔がみるみる驚きの顔に変わっていく。


「もし旦那さんの身に何かあれば
これを怜奈さんに渡してくれと言われています」


表情を変えず男はそう言った。


「なぜ?こんなに?
たくさんの…」


気が動転して散文的にしか
しゃべれない怜奈。
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