赤い愉楽
「いい思い出になりました。ありがとう…

怜奈さん」


奥田は怜奈に微笑む。



「私の最期の夜のいい思い出になりました」



携帯を取り出す奥田。


「ああ、鬼軍曹さんですか?
はい…こちらは終わりました。


もう思い残すことはありません。


彼を…


工藤君を連れてきてくれませんか?」



奥田は怜奈が見ることを望んだ
夜空を見上げた。


満天の星空が奥田の上に
溢れんばかりに広がっている。


「工藤君に思いを遂げさせて
私のシナリオは終わりです。


え?本当にそれでいいのかって?


ええ…もちろんですよ。


だって…」



奥田は動かない怜奈を見つめる。



「私は怜奈さんの幸せしか


願っていないんですから」






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