赤い愉楽
僕は教室を出て
扉を閉める。


ゆっくりとドアが閉まっていく。


その時僕は


まるで
つり橋を渡りきった瞬間


そのつり橋が切り落とされ
谷底へと落ちていく


瞬間を見つめていたんだ。



要するに
もう後戻りできない。


前に進むしかない。




「今から先生と病院へ行こう。
タクシーを待たせてあるから」


少し焦った様子の教頭先生。
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