赤い愉楽
一握の砂
サンドバッグを撃つ乾いた音。


ひび割れたガラス窓から差し込む
頼りない光。


そして部屋の中心には
汗を飛ばし一心不乱に獲物を追う男。



鍛え上げられた細身の身体から湯気が立ち上っている。
左腕には呪われた証であるタトゥーが蠢く。



端正な顔立ちとは似合わぬ残虐な表情を浮かべた
この部屋の主は


再びサンドバッグを撃ち始めた。
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