赤い愉楽
必死に平野を問い詰める怜奈。


平野は落ち着くよう促して
怜奈をソファーに座らせた。


「人って不思議ですよね」


ポツリと平野が言う。


「人にはいろんな顔があるもんです。


2つや3つの顔を持っていて
当たり前。


人によっては20や30の
顔を自在に使い分け


世の中を生きている人もいます」


平野は先ほどまでとは全く違う
残酷な光を目に宿しこう言った。



「つまりね。

あなたが知っている旦那さん
だけが全てじゃないってことですよ」


怜奈は首を振って下を向く。


「そんなわけはない…」


そう一言つぶやいた真奈は
しばらく下を向いて動かなくなってしまった。


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