赤い愉楽

「この息苦しい社会の中では
たとえ最愛の人が惨殺されても


私怨を晴らすことは許されない。


たとえ自分の子供の首が切り取られようが
黙って司法の裁きを見守ることしかできないんですよ。


この社会ではね。


奥さん。


目撃者の中に
ご主人の最期の言葉を聞いた人がいらっしゃいました」


主人を惨殺されたこの女性は
能面の様に無表情で男の話を聞いている。
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