赤い愉楽
少しとぼけた
優しい微笑みが怜奈の頭の中によみがえる。


頭の中で笑う夫につられて
怜奈もにっこりと笑う。


怜奈は嬉しかった。


そんな夫の理解者が
いたことに。


皆が夫を悪く言う中
あの預金通帳の男


奥田は夫を理解していてくれた。


蛇のような眼をした平野や

悪の塊のような風貌をした
タトゥーの男、クドーと違って


奥田は礼儀正しく
親身になって怜奈に接してくれた。
< 65 / 377 >

この作品をシェア

pagetop