赤い愉楽
「ありがとう…奥田さん」


そうつぶやいた怜奈は


夫の残した文庫本に
ふと眼をやった。


本のタイトルを見て
少し疑問に思う怜奈。


「日本珍名奇名辞典」


普段夫が読むのは


筒井康孝や宮本輝などの
近年の名作家の作品ばかりだったのだが


この本はいわば雑学本。


「珍しいなあ、こんな本読んでいたなんて」


興味に駆られて
怜奈は本を開いた。

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