赤い愉楽
あいつがなぜ四月一日と
本の裏表紙に書いたかは


私も全く分からないんですよ。


でも下に書いてある一行は
解らないこともない」


奥田はそう言って
ブリーフケースから

ノートパソコンを取り出した。


柔らかい雰囲気の
店の中に

無粋な光を放つ
銀色のパソコンを


奥田は無表情で操作する。


「あまり食事中にお見せできるような
物ではないのですが」


パソコンの画面を
怜奈の方に向ける奥田。
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